前回の補足・・・高浜原発の疑問点について。
まず2/12東京新聞の記事。 「原発銀座」と呼ばれている原発が密集している地域ですが、複数個所で同時に発生する事故に関しては検証されていないとのことです。 同時原発事故、検証せず 高浜3・4号機、新基準「適合」東京新聞/2015年2月12日原子力規制委員会は十二日の定例会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が原発の新しい規制基準を満たしているとする審査書を正式に決めた。新基準を満たすと判断された原発は、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)に続き二例目。 会合では、昨年十二月十八日~一月十六日の間に実施されたパブリックコメント(意見公募)に寄せられた約三千六百の意見の主なものを紹介し、審査書案の修正が必要かどうかを議論した。細かな字句修正はしたが、ほぼ公募前の案で妥当と判断された。 高浜原発の周辺には関電大飯と美浜、日本原子力発電敦賀と多くの原発が立地している。しかし、規制委は複数の原発で同時に事故が起きる可能性や、近隣住民が安全に避難できるかどうかは検討していない。 ・・・・・中略 ◆14基集中 収束支障の恐れ 原子力規制委員会による関西電力高浜原発の審査では、原発が集中立地していることの危険性について検証もされず、審査書でも記載されていない。新規制基準を満たせば、各原発で放射能が大量放出されるような事故は防げるという大前提になっているからだ。 高浜原発が立地する福井県沿岸の若狭湾は「原発銀座」とも呼ばれ、高浜のほか、大飯、美浜、敦賀の三原発と高速増殖炉「もんじゅ」を合わせ、計十四基が立ち並ぶ。 東日本大震災では、東京電力福島第一原発だけでなく、約十二キロ南の福島第二原発、東北電力女川原発(宮城県)、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)も津波に襲われており、同時に事故を起こす危険性は十分にあった。 政府事故調の調書で、福島第一の故吉田昌郎(まさお)所長(当時)は「放射能が2F(福島第二)まで行ってしまう。2Fも、注水などの作業ができなくなってしまう」と危ぶんでいたと証言した。 こうした教訓を踏まえれば、若狭湾に面した原発群のどれか一つでも大量の放射性物質を放出する事態となり、収束作業に大きな支障となることも想定する必要がある。 規制委は、高浜原発内では休日でも七十人の要員を確保し対応する方針だとして、新基準を満たしていると判断。集中立地の問題でも、各原発で放射能の大量放出という事態となる前に抑え込めるはずとし、その前提が崩れたときのことは想定しなかった。 ※全文こちら→→ 下図は高浜原発の位置関係。 5つの原子力発電所に14基の原子炉・・・「原発銀座」の様子がわかります。 3.11以降、この状態を直視すれば再稼働などとてもできないと感じますが、その反面それだけ原発マネーに依存してきたという側面もあると思います。 このような土地柄の中で出された、福井地裁樋口裁判長の判決は、勇気あるものだったと改めて感心しています。 ![]() やはり疑問・・・地元の範囲この地図からわかるように、京都府舞鶴市は高浜原発から最短約3Kmに位置し、市のほとんどが30Km圏内に含まれます。人口も舞鶴市の方が多いですが、原発再稼働に関し地元とは認められません。 ・舞鶴市/85,012人(H27/2/1) ・高浜市/10,842人(H27/1/末) また原発から5Km以内の舞鶴市の住民にも、安定ヨウ素剤が配布されています。 これは万一の事故に備えたものですが、それでも舞鶴市は「地元」ではありません。 ![]() ヨウ素剤は要冷蔵なんでしょうか。これは舞鶴市の方が冷蔵庫に保管している写真です。 毎日これを目にするとしたら辛いですね。 ![]() このようなちぐはぐな対応の中でも、同意が必要な地元とは・・・ ■福井県知事/「県」と「高浜町」 ![]() ■関西電力/「県」と「高浜町」 ![]() ■国/各地と相談して対応することが重要?→相変わらずあやふやな対応 ![]() どう考えてもおかしな状況・・・それでも国・県・地元自治体は何が何でも再稼働! 地元にとって、そこから発生する莫大な交付金や雇用・・・は、とても重要な財源であることは間違いありません。 しかしそれは事故が、絶対起こらないという前提に立ったもの。 一度過酷事故が発生すれば、広範囲に影響を及ぼすことは、福島第一原発事故ではっきりしています。 4年目に入る今も、故郷に帰れない多くの人がいます。 この福島の事故が最大という保証もありません。 複数個所で発生する可能性も否定できません。 上記記事にも記されているように、大事に至らなかったにしても、その可能性はあったと思います。 また原発からは今も汚染物質が放出され、廃炉処理の見通しも立っていません。 少なくとも高浜原発で事故が起きれば、他県にも影響することははっきりしています。(福島と同程度の事故の場合) それらの人が全員、故郷を捨てる覚悟ができているんでしょうか? 「事故の確率は非常に低いから」という考えは、3.11前の「安全神話」! もし適切な影響範囲(判決では250Km)を設定し、その影響範囲の過半数がそのリスクを承知で再稼働に賛成するなら、仕方ないのかもしれません。 少なくとも私達は 県と原発立地自治体だけの同意で良いとするのは、あまりにも理不尽なことだと思います。「経済性」と例えコストが高くなっても「安心して暮らせる社会」のどちらを選択するか?時間がかかっても十分議論され、すべての住民が覚悟をもって選択すべき、重要課題であると思います。 最後に再度次の判決文の抜粋を! 大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨/抜粋「9 被告のその余の主張について」より他方、被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。 3/11に予定されている福井地裁「高浜・大飯原発の再稼働禁止の仮処分の申し立て」の判断は、上記判決を言い渡した裁判長です。どのような判断が示されるかもちろん不明ですが、期待したいと思います。 ※中日新聞福井/高浜再稼働、司法が鍵 差し止め仮処分の行方注目→→ スポンサーサイト
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