ごみ焼却炉と子供達の健康
日常生活の会話で「家の子は喘息で」と言う事は良く聞かれます。
それをごみ焼却炉と関連付けて考える事は少ないと思います。
しかし環境ジャーナリスト青木氏の講演会を聞き、その影響の大きさを認識することが出来ました。
今回は富士市の焼却場を、その視点から調べてみました。

横浜市栄区の焼却炉を停止した前後の喘息罹患率

講演会の資料に記載されていたデータを、次のグラフにまとめてみました。
(2000年と2004年のデータです。出典:神奈川県学校保健統計書)
横浜市栄のグラフ
横浜市全体では喘息の罹患率が上昇しているのに、本郷小学校と桂台小学校は大幅に減少しています。
明らかに焼却炉の停止が影響したものと思われます。
こんなにはっきり現れるものだろうか?
この講演会を聞いて、自分の住む町の焼却場について調べてみる必要性を感じていました。
今回ある方から富士市の喘息・アトピー性皮膚炎のデータをいただいたのきっかけに、富士市のこれらの疾患と大気汚染の影響について考えてみました。

富士市の焼却炉と健康への影響

以前から問題点を指摘されていた、ダイオキシンについておよび富士市の小中学生男女について、喘息とアトピー性皮膚炎の発生率(罹患率)について調べてみました。
pdfファイルこちら→→
ダイオキシン
富士市のダイオキシン排出濃度と、他市との比較データです。
富士市は集塵効果が劣る電気集塵装置を使用しているため、他市に比べ何十倍も高い値になっています。
(出典:各市のホームページに公表されている実績値データ)
このことは健康被害への影響と電気集塵装置の集塵率の低さを表しています。
各市のダイオキシン比較グラフ
富士市長は基準値以下だから、問題ないというお考えでしょうか。【基準値は1(ng-TEQ/Nm3)/処理能力4t/h】
新設施設基準は0.1(ng-TEQ/Nm3)で、他市の焼却場はこれさえ大幅に下回っています。

当然、新しい焼却場が必要と考えますが、そこにまた不透明さが指摘されています。
こちらのブログで詳しく説明していただいています。こちら→→
焼却場は富士市全体に影響を与えるものです。
住宅地の近くに建設することは反対ですし、ぜひ全市民が参加できる形で進めて欲しいものです。
喘息
青色が富士市のデータで、もう一方が静岡県全体のデータです。(5年間のデータ、クリックで拡大)
残念ですが富士市では小中学校の男女とも、静岡県全体と比べ相当高くなっています。
(出典:学校保健「ふじ」19~23年度/編集・発行:富士教育委員会/富士市教育研究推進会/富士市養護教諭研究所※富士中央図書館でいつでも閲覧できます。末尾に写真あります。)

小学校/男子


喘息小学校男子

小学校/女子


喘息小学校女子






中学校/男子


喘息中学校男子

中学校/女子


喘息中学校女子






アトピー性皮膚炎
黄緑が富士市のデータで、もう一方が静岡県全体のデータです。(5年間のデータ、クリックで拡大)
こちらも残念ですが、富士市では小中学校の男女とも、静岡県全体と比べ相当高くなっています。


小学校/男子


アトピー小学校男子

小学校/女子


アトピー小学校女子






中学校/男子


アトピー中学校男子

中学校/女子


アトピー中学校女子






専門家ではないため、ダイオキシンと富士市の子供達の喘息・アトピー性皮膚炎と相関関係があると断定することは出来ません。
工場からの煤煙を含めた、複合的な原因かもしれません。
しかし焼却場のダイオキシンの排出濃度を見たときに、まったく無関係と言えるでしょうか。
また横浜市の例からも、無関心でいるべき問題ではないと思います。

23年度の調査対象数は次の通りです。
※調査対象数(平成23年度)
・小学校男女合計:15,187人(男子:7,753人/女子:7,434人)
・中学校男女合計:7,601人(男子:3,787人/女子:3,814人)

23年度小学生男子の場合で考えてみます。
小学生男子の喘息は7.3%で、約566人になります。
もし富士市が静岡県平均の3.4%だった場合は、約264人。
その差302人!
この子達は富士市に住んでなければ、喘息になっていなかったかもしれません。
(ただ富士市では発作が起きた時に対応するため、各学校で緊急対応できる対策は実施していると言う事です)

私たち大人の様々な思惑の中で暮してきた子供たち。
そのツケを子供達に払わせているような、そんな申し訳ない気持ちになりました。

今回のデータはその大気汚染の発生源を絶たなければ、とても富士市の子供達は安心して暮せないのではないか!そんな思いを強く感じさせるものでした。
このデータを見てどのように感じるかは、もちろん人それぞれ異なると思います。

以下は私達の思いです・・・

私たち富士市の大人たちが、この事態を放置してきた責任は大きいと思います。
まずその反省から出発する事が、最も必要だと考えます。
そして何よりもこのことが問題だと思わない限り、何も変わらないし、変える必要もなくなってしまいます。
「多分大丈夫だろう」「何とかなるだろう」「たいしたことないよ」、これがこのようなことが起きる根底にある問題だと思います。
もう大人の身勝手なエゴを捨て、市民も市も一体となって取組むべき時期が来ていると思います。


3.11以降、我々大人が経験したことがない、大きな負担を背負って生きていく事を余儀なくされた子供達。
その子供達の負担を、少しでも取り除く事が我々の責任です。

お父さんお母さんに、一度この問題について話し合っていただく機会になれば、そんな思いで掲載させていただきました。

3.11以降の放射性物質のリスク


3.11以降、富士市では大気汚染に加え、放射性物質を含む焼却ゴミを焼却しているため、放射性物質が大気中に放出されています。

昨年私達はこの事態を受け、富士市の焼却場についても調べてみました。
その結果は現在の焼却場では、放射性物質をとり除くことは無理かもしれないというものでした。
そのため市に対してその事を伝え、安全性確認のための調査、疑問点に関する質問、疑問や不安を解消するための事前説明会などをお願いしてまいりました。
しかし残念ながら少数意見の悲しさで、市に動いてもらうことは出来ませんでした。

しかし今、電気集塵装置の集塵率が、バグフィルターより大幅に低い事がわかっています。
富士市の喘息の子供達が、静岡平均より相当高いと言う事もわかっています。
これに今放射性物質が大気への放出されていることも事実です。

いま富士市で必要な事は、現実に発生している大気汚染に、新たに放射性物質の放出が加わっている事実の中で、どのようにして子供達の健康へのリスクを下げるかという、具体的対策を示し実行する事だと思います。

基準値以下だから、国の方針に沿った対応なので・・・、そのような説明はまったく意味がありません。
そして我々大人はその声を上げていくことで、子供達に対する責任を果たすべきだと思います。

「災害廃棄物の広域処理」について


現在、これに関してはいろいろな情報から、その問題点がわかってきました。
3月26日に衆議院第一議員会館で開催予定の、院内交渉の質問状に代表的な項目がまとめられていますのでご覧ください。
・こちらのサイトからダウンロードできます→→

また、多くの方の「災害廃棄物の広域処理」に対する見解も出されています。
こちらをご覧ください→→

あまりにも多くの問題点が指摘され始めていますので、今後整理して行きたいと思いますが、今回は次の汚染マップから、広域処理を考えてみました。
汚染マップ

この汚染マップは文科省のデータを基に作成されたものです。
岩手県・静岡県は確実に汚染されていることがわかります。
(岩手県の汚染度は静岡県より高いことがわかります)
西日本は東日本に比べ、大幅に汚染度が低い事がわかります。
政府はそれらの地区にも、「災害廃棄物の広域処理」を進めようとしています。
濃度が高くても薄めれば問題ない、と言う考えでしょうか?

日本の将来を考えた時、これ以上放射性物質を拡散して良いかどうか?
多くの人はそれがとても危険なことだと気付いています。
放射性物質を拡散させない!これが世界の常識です。
その上でその汚染状況に応じた対策を考えていく事が、必要な事は言うまでもありません。

富士市の大気汚染を調査しても、大気で薄められ全て基準値以下だと思います。
しかし健康被害は出ています。

これが全国で起こるかもしれないことを政府は無視し、「災害廃棄物の広域処理」を進めようとしています。
結局、将来その影響を強く受けるのは、やはり子供達になります。

岩手県が広域処理を希望していると言われる「災害廃棄物」の量は、15%程度と言われています。
残りの85%は県内処理と言う事になり、それらはほとんど進んでいないようです。
しかし15%の処理が出来ないから、全ての復興が止まっているような報道が、我々の税金を使ってまで行われています。
現地処理の方法は、昨年から複数提案されていました。。
いのちを守る森づくり」もそのひとつですが、検討すらされてこなかったようです。
今頃になって野田総理は次のような発言をし始めています。

細川元首相、震災がれき利用し被災地に防潮堤を造るよう提案 野田首相は前向きな姿勢


野田首相は20日、細川元首相と会談し、細川元首相が東日本大震災で発生した大量のがれきを利用して、被災地に長さおよそ300kmの防潮堤を造るよう提案したのに対し、野田首相は、前向きな姿勢を示した。
細川元首相は「(がれきで)緑の防波堤を造っていくと」、「福島の端から岩手までですね、300kmにわたる緑の森の長城プロジェクトと」、「(野田首相は)前向きに進めていきたいという話をしていました」などと語った。
会談では、細川元首相が、震災で発生したがれきを利用して、被災した岩手県と宮城県、それに福島県の沿岸部に、長さ300kmにわたる防潮堤を造り、その上に森を造るという計画が提案された。
細川元首相によると、野田首相は「前向きに進めていきたい」と応じたという。
がれきの再利用をめぐっては、野田首相は3月13日、関係閣僚会議の席で「防潮林や避難のための高台を整備し、後世に残していきたい」と述べている。
細川元首相によると、会談では、民主党内で意見集約が難航している消費税増税法案や、民主党と自民党の間で表面化した大連立をめぐる動きについては、話題にのぼらなかったという。
FNNニュース(03/20 22:30)

もちろん今からでも遅くありません、全ての復興案を早急に見直すことが、最優先事項だと思います。
今計画されている「災害廃棄物の広域処理」は、焼却ゴミを何百キロも1000Km以上も離れた地区に莫大な費用をかけて運び、高額な処理費用を支払って処理し、更に放射能汚染を広げるリスクを生み出すと言う、とても考えれない方法です。

しかしこれさえも多くの市民が問題と捉えなければ、やはり何事もなかったように進められ、将来何が起きても誰も責任を取らないという事が繰り返されます。

富士市の状況を考えた時、「災害廃棄物の広域処理」を受け入れる事は、確実にリスクを増大させます。
富士市は既に、子供達のリスクを減らす事はあっても、絶対増やしてはいけない状況だと思います。
復興支援策は、他にもっと被災地のためになる方法があります。

子供達の健康を守る事を優先するのであれば、受け入れると言う選択はありえないと考えています。


【出典】
■ダイオキシン:
・各市で公表されているホームページのデータ

■喘息/アトピー性皮膚炎
・学校保健「富士」:平成19年~平成23年度
・編集・発行:富士教育委員会/富士市教育研究推進会/富士市養護教諭研究所
※このデータは富士市立中央図書館でいつでも確認できます。(45番の書棚)
学校保健

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[2012/03/15 00:57] | がれき問題 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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