過半数の民意の行方?
いちき串木野市は川内原発からの30Km圏にすべて含まれているだけでなく、市民の過半数が再稼働に反対しています。

市民の半数以上の署名を集めることが、どれほど大変なことか?
いま住んでいる市町に置き換えて考えれば、その大変さは実感できます。
例えば市の有権者の1/3以上の署名で、市長の解職を請求することができます。その請求が有効であれば住民投票が実施され、過半数が賛成すれば市長は失職します。
市民の過半数とは、それだけ力がある市民の声になります。

反対署名が市民の半数以上に達している状況で、市はどのような対応をとるのか?

このことは原発問題だけでなく、地元で起こっている様々な問題にも関係する、非常に重要な事柄だと思い、注目していました。市民の再稼働反対の意向とともに、反対署名は市長に提出されました。
市長に提出

再稼働反対署名 人口の過半数に 隣接の「いちき串木野市」

東京新聞2014年6月25日

 鹿児島県いちき串木野市の市民団体は二十四日、九州電力川内原発の再稼働に反対する署名が、市の人口の半分を超える一万五千四百六十四人分に達したと発表した。
 いちき串木野市の人口は約三万人で、川内原発がある薩摩川内市に隣接している。市民団体は「実効性のある避難計画がない中での再稼働は反対」と訴えており、同日、田畑誠一市長に署名を提出した。

 石神斉也(まさなり)代表(81)は市役所で田畑市長に「市民みんなの思いとして受け取ってほしい」と語った。市長は「福島の原発事故が収束していないことへの不安がこういう形で表れている。避難計画はこれからも充実、強化させていく」と応じた。再稼働の是非には「国の説明や議会の声を聞き、総合的に判断する」と述べた。

 原発の再稼働には地元の同意が必要だが、いちき串木野市は同意の対象になっていない。
 団体は五月十日から市内の住宅を戸別訪問するなどして署名を集めた。

市長の対応
市議会・市長に、過半数の民意は聞き入れられませんでした。
署名提出から約半年。市民・市議・市長それぞれにいろいろな思いはあったと思いますが、結果としてこれだけ重い民意が届かなかったことは非常に残念です。


再稼働、1票差で容認 いちき串木野市議会 反対陳情不採択

西日本新聞2014/12/26

 九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市に隣接する同県いちき串木野市の市議会(定数18)は25日、同原発の再稼働に反対する陳情など原発関連陳情8件をいずれも賛成8、反対9の賛成少数で不採択とした。市議会は9月には再稼働への地元同意範囲に市を入れるよう求める意見書を可決していたが、既に同意手続きが完了している再稼働については、1票差で容認の判断を下した。

 採決前の討論で、再稼働に賛成の議員は「安定的に電源を供給するには原発が必要で再稼働はやむを得ない」と強調。反対の議員は「やむを得ないで済む問題ではない。もし何かあったらどう責任を取るのか」などと主張した。

 田畑誠一市長は9日の市議会一般質問で「新しい知見を追い求めながら原子力政策は進めるべきだ」と事実上容認する姿勢を示している。


もちろん住民による反対署名数だけをもって、市がすぐに反対すべきだということではありません。
しかし反対署名を受け取った市長は、再稼働に反対する市民が非常に多いということは認識できたはず。そうであれば住民説明会や話し合いの場を設け、住民との意見交換を行い、最終的に市が主体となって全住民を対象にした意向調査を実施し、住民の意向を確認することが、民主主義における正しい考え方だと思います。
その状況を期待していました。

しかし実際には、その住民の意思に反する結果となりました。
そこには、地元が抱える次のような問題もあるようです。

記者の目・住民の思い

特集ワイド:川内原発の再稼働、鹿児島県知事が同意 地方への差別じゃないか

毎日新聞 2014年11月10日 東京夕刊

・・・・・
(ある、いちき串木野市議の見解)
「周辺の自治体の避難計画はどこもそんなものばかり。まともに避難ができない以上、再稼働など言語道断なのですが、市は疑問や反対の声を上げるのを避けている」と首を振るのは、昨年11月の市議選で「再稼働反対」を掲げて初当選した市議。
 同市の今年度当初予算約154億円のうち、市税など自主財源は28%の43億7000万円。7割以上が地方交付税や県や国庫からの支出金などの依存財源だ。「市は国・県の電源立地交付金約9000万円を受け取っています。財政事情が厳しいから、市は絶対に手放せない。反対なんてとんでもない」

・・・・・・
(地元紙・南日本新聞の元記者の見解)
政治的事情もある。ある自治体の公明党関係者は「結局は党本部の意向に従うしかないが、再稼働に賛成した公明党県議も内心は納得していないし、有権者に説明できないと困り果てていたんです。一部の自民党県議も『よりによって何で東京は我々を一番手にしたんだ、基地を押し付けられる沖縄と同じだ』とぼやいていたらしい」と明かす。

 元記者が付け加える。「より中央から遠く、より弱い県や自治体にしわ寄せがくる『差別構造』としか言いようがない。政府が川内原発を再稼働第1号に選んだのも、東京から遠く国民の関心も低いから、としか思えない。鹿児島だけの問題ではないんです。全国の人が声を上げなければ、より弱い地域・人が犠牲になる構図はなくなりません。それほど『安全』と言うなら、東京に原発を造ってほしいのですが」

・・・・・
(いちき串木野市山奥の住職の思い)
「原発で潤う人はいるのでしょう。でも子々孫々にまで災いを及ぼすかもしれない原発を、今、この時代しか生きない私たちが『お金がもうかるから』という理由だけで動かして本当にいいのですか」
・・・・・


※記事全文こちら→→
※上記記事中の個人名は、一般名称に置き換えさせていただきました。

「いちき串木野市」の過半数を超える民意は、いったいどこへ行ったのか?
経済最優先の中で、民意が埋没してしまう今の日本!

もし「過半数を超える民意」でも簡単に押し流されるとしたら、そして我々がそのことに違和感を感じないとしたら、本当に恐ろしいことです。

10万の署名を軽視/3月3日
いちき串木野市関連ではないですが、やはり10万の署名に対する九電の対応です。


川内原発:説明会要請 10万の署名を軽視 市民の願い九電側が拒否 /鹿児島

毎日新聞 2015年03月03日 地方版

 「信頼が地に落ちた」「本当に命の問題と考えているのか」。九州電力本店(福岡市中央区)に市民の怒りの声が響いた。川内原発の再稼働前に、30キロ圏9市町で住民説明会を開催し、議会同意を得ることを求めた全国の市民団体の交渉。九電側は「住民説明会開催は予定にない」「議決を得ることは考えていない」と要求を拒否。

市民は、10万もの願いを軽視する九電の姿勢を問い続けた。【杣谷健太】

 午後1時から始まった九電本店前の集会。佐賀県などの原発立地自治体や東京電力福島第1原発で被害を受けた福島県民など全国各地から約600人が参加した。「川内・玄海・原発 再稼働反対」「原発は高くつく!」などの横断幕が並ぶ。

 「若者代表」としてマイクを持った福岡市の池天平さん(33)は「事故が起きれば玄海原発から50キロ圏の福岡にも放射性物質が飛んでくる」と危険性を強調し、呼びかけた。「誰かの犠牲の上に成り立つ発電はいらない」 午後2時からの交渉は5時間を超えた。要請書と約10万筆の署名を持参。市民団体側は瓜生道明社長に直接手渡すことを強く求めたが、九電側は広報担当社員が対応。「今回は私たちが対応する」と繰り返し、紛糾した。

 「この箱が分からないのか。誰が移住したいと思うのか。本当は九電の電気なんて買いたくない」。薩摩川内市五代町の上原正利さん(68)がマイクを持って歩み出て、前に積まれた署名用紙が入った10箱の段ボール箱の意味を訴えた。

 上原さんは2014年9月、福島第1原発事故で全町避難が続く福島県浪江町などを訪れ、被災者の生の声を聞いた。祖父母の家に寄りつかなくなった孫など家族が離散した現状に、原発反対の気持ちが強くなった。しかし、この日の九電側の対応に「誠意」を感じなかった。
上原さんは「人の心はカネには換算されない。心は補償できない。責任を取るということは事故を起こさないこと」と、再稼働反対を求めた。

「訪問活動などを実施する」として、住民説明会開催の要求を拒否し続ける九電に対して、参加者は「九電の言うことを聞けと言っているようなものではないか」と激怒。
「住民の6割が再稼働に反対している」と参加者が指摘すると、九電側は「世論調査の結果で再稼働を判断することはない」と回答。
「住民の意見は聞かなくていいのか」「(今回の)署名の重さは関係ないのか」と会場内は10万の声を代弁する怒りの声に包まれていた。


民意はここに生きていた!
残念という気持ちが強い中、3/5の毎日新聞の記事が目につきました。
昨年12/26日のいちき串木野市議会の様子を伝える記事です。


自治はどこへ:2015年統一選 議会変えた再稼働激論 「予定調和の採決」から脱却

毎日新聞 2015年03月05日 東京朝刊

鹿児島県いちき串木野市議会(18人)は昨年12月、北隣の薩摩川内市と県が同意した九州電力川内原発の再稼働に反対する陳情を不採択とし、再稼働賛成の意思を示した。採決は8対9の1票差。激論が交わされ、議員一人一人の決断が問われた。市域のほぼ全てが原発から20キロ圏に入る人口3万の町で議会が活発化している。【内田久光、宝満志郎、横田愛、佐久間一輝】
20150305 いちき串木野市議
 「今は電力の安定供給に原発が必要」「原発からの距離や風向きを考えると、再稼働はやむを得ないでは済まされない」

 昨年12月25日、いちき串木野市の12月議会最終本会議。「川内原発の再稼働に反対し廃炉を求める陳情」の採決を前に、議員の間で賛成、反対の討論が交わされた。再稼働に反対し、賛成の起立採決で立ち上がったのは採択に1人足りない8人。「起立少数であります」。下迫田良信議長(66)が不採択を告げるまでに20秒を要した。「もっと票差がつくと思っていたので驚いた」。再稼働賛成派の議長にとっても1票差は予想外だった。「予定通りの採決ばかり」の地方議会とは異なる姿だった。

 「苦渋の選択でした」。川内原発から南東17キロの山あいで観光ブドウ園を営む楮山(かじやま)四夫市議(74)は冬の作業をしながら振り返った。「日本のエネルギー事情を考えれば原発は必要」。12年前の初当選から原発賛成の立場を貫いてきたが、再稼働反対の陳情には賛成し、初めて反対派に回った。

 「採決の前夜は、原発事故で苦しむ農家や再稼働反対を求める市民の姿が浮かび、眠れなかった」。支持者の間でも賛否が割れる中、心を動かされたのは、人口の半数を超す市民約1万5500人分の再稼働反対を求める署名だった。

 市議会は市内全16地区を回る報告会を定期的に開いている。東京電力福島第1原発事故後、市議を名指しして、再稼働への賛否やその理由を問う質問が頻繁に出るようになった。再稼働反対派の中里純人市議(61)は「市民の意識が全然変わった」と話す。有権者の声を背に議員が動いている。


 茨城県北部の那珂市では、再稼働をにらんで「常設型」住民投票条例を制定する動きが市長主導で進む。

 那珂市は市内の全域が日本原子力発電東海第2原発(東海村)から20キロ圏に入る。那珂市を含む県内の周辺15市町村は立地自治体並みの安全協定締結に向けて日本原電と交渉している。海野徹市長は事前同意が認められた場合、住民投票に踏み切りたい考えだ。

 「常設型」は、一定の発議要件をクリアして請求があった住民投票は、議会の議決なしで自動的に実施される。

市議会からは「議会軽視」という反発もあるが、市長は「最大限、民意を反映させるのが首長の責任」として常設型にこだわる。

 再稼働問題を機に、自治体は果たすべき役割に敏感になった。「国任せの地方自治」が真剣な議論の中で変わり始めている。

本来、原発過酷事故の影響範囲は、福島第一原発事故と同等レベルの場合250Km~300Kmだと思います。
しかし実際はUPZ圏の避難計画を義務付けただけで進んでいます。
しかもUPZ圏には、再稼働に関する選択権がありません。これは異常なことです。
位置関係-川内原発2

特に川内原発においては、国・県知事・電力会社・市町の長がほぼ一体となって推進している状況。
九州電力の影響力は強く、その関連会社や旅館・飲食関係・・・、その恩恵を受ける人たちの推進に対する思いも、相当強いものだと思います。

それらの意向に反し再稼働を阻止することは、半端なことではありません。

全国で展開されている署名・アクション行動・各種イベント・訴訟等が、今まで再稼働を阻止してきた大きな要因です。もちろんこれからも大切なことだと思います。

しかし国・電力会社・・・etc(いわゆる原子力村)が、具体的に個別の原発をターゲットに進めようとしている今、UPZ圏に含まれる市町村の意向を集約することがいかに重要なことか!
「いちき串木野市」の市民の方たちが示してくれたと思います。


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[2015/03/07 14:12] | 原発関連 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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