熊本地震から浜岡原発を考える!
熊本地震の発生は浜岡原発をかかえる静岡県民に、大きな課題を投げ掛けてくれました。
熊本地震では大きな被害が出ましたが、東南海地震や南海トラフ地震では、これに津波や原発事故のリスクが加わります。

いま県内では市民の間で、避難計画について議論が多く聞かれます。
静岡県からも「浜岡地域原子力災害広域避難計画」が出されています。
この避難計画に対しても、熊本地震は多くの課題を与えてくれたと思います。

今回は市民感覚で、浜岡原発で3.11と同程度の原発事故を想定し、次の点について考えてみました。

1 避難計画の実行性は?
2 浜岡原発の再稼働は、誰が決断すべきか?

1 避難計画の実行性は

道路の通行止め

2016/05/16毎日新聞の記事から・・・
「熊本県が大規模災害時に救助隊や救援物資の輸送に使うと指定している緊急輸送道路(緊急道)113路線のうち、28路線の計50カ所が熊本地震で通行止めとなったことが県などへの取材で分かった。」※全文こちら→→

20160518緊急輸送道路
原因と考えられる下の写真の状況は、東南海地震で当然想定しなければならないはずです。
20160518通行止めの原因写真

日本道路交通情報センターの情報からも、事故発生11日後(4/25)でもこれだけ通行止めが残っていることがわかります。事前に道路の亀裂や崩壊、土砂崩れ、建物の倒壊などを予測することは不可能。この点からも実効性のある避難計画の難しさが浮き彫りにされました。
20160425 熊本通行止めMAP-6
東南海地震でどのような被害が出るか全く予想はできないが、現実に起こっていることは最低限考慮し対策を立てなければならないはすです。

津波被害

東南海地震では、当然津波の被害も考慮しなければならない!
地震の揺れによる通行止めに津波被害による救出作業が加わり、その対応はより複雑になってまいります。
3.11では想像を絶する津波被害があったことを、決して忘れることは出来ません。

20160518津波被害

放射能汚染

放射性物質の放出が加わることで、絶望的な気持ちになってしまいます。
これがなければ状況により、取りあえず近くの安全な場所に避難し、様子を見ることも可能だと思います。
しかし高濃度の放射性物質が飛来してくる場合、じっと留まっている訳にはいかず、まず避難しなければなりません。

■放射性物質のUPZ圏拡散時間
基本的に事故発生時の風速に依存するだろうということで考えてみました。
御前崎の2015年の年平均風速は、気象庁のデータから4.6m。これは時速約16Kmで、UPZ圏に放射性物質が拡散する時間は約2時間になります。もちろん各地点に届くまでに、風速の変化その他の要因で時間は変わってくると思いますので、あくまでも概算値です。

下図は福島第一原発事故の際の放射性物質拡散データを、浜岡原発に重ねてみたものです。
文部科学省及び米国エネルギー省航空機による航空機モニタリングデータを参考に作成しましたが、諸条件で全く異なるのであくまでイメージをつかむためのものです。
もし2時間程度で中心の朱色の部分(高濃度)が迫ってきたら・・・
2時間では正しい情報さえ、入手できていないかもしれないですね。

20160516浜岡原発周辺+スピディ

放射性物質が約2時間でUPZ圏全域に到達するとしたら、それまでに救出作業を完了することなど不可能です。
救出作業はどうしても、被曝しながらの作業になります。(白い点々は、降り注ぐ放射性物質と考えてください)
20160521救出-熊本hss

■野営・テントや車中泊もできない
熊本地震では家が倒壊したり、倒壊は免れても倒壊の不安で家に戻れない多数の被災者が発生しました。
しかし原発事故により放射性物質が放出されると、被曝の恐れがあるためこの一時的な対応も困難になります。

20160521屋外避難-熊本
20160521車中泊-熊本

■避難所に避難する被災者は、被曝を避けるため大幅に増加することが予想されます。収容者数は十分でしょうか?
しかし熊本地震では、指定避難場所が32か所閉鎖されました(4/27毎日新聞)。緊急時、避難所に避難したが、また別の避難所に避難しなければならないとしたら、大きな混乱を招きます。
20160521避難所-assy
これらの状態を、正しく予想することは不可能です。

あまりにも不確定要素が大きな避難計画に実行性は?

以上は、不確定要素のほんの一部で、病人・高齢者・要介護者・幼児・・・、多くの状況を想定しなければならないわけです。このような中で静岡県は「浜岡地域原子力災害広域防災計画」を2016年3月公開しています。詳しくはこちらの静岡県のサイト「https://www.pref.shizuoka.jp/bousai/event/documents/hamaokahinan2803.pdf」をご覧ください→→

この中で全面緊急事態(福島第一原発事故相当)では、避難地域・内容は次の通りとなっています。
20160521PAZ UPZ圏

■PAZ圏/御前崎市の全域・牧之原市の一部 ・・・「避難実施」
■UPZ圏/牧之原市のPAZの範囲を除く全域 ・・・「屋内避難」
20160521PAZ UPZ圏避難内容

PAZ圏の住民が被曝を避けるためには、すぐにでも避難を開始しなければならないわけですが、今回の例からもそれは非常に困難をともなう計画だと思います。(UPZ圏も同様)

もし福島第一原発事故と同等かそれ以上の事故が発生した場合、県の避難計画とは?
それはあくまで被曝前提の計画であること、そしてその被曝とは高濃度の被曝も含まれることを、県民はしっかり覚悟する必要があると思います。


浜岡原発で過酷事故は起こらないか?

今回の熊本地震は、そのことにも疑問を投げ掛けてくれたと思います。
浜岡原発のリスクについては、いろいろ指摘されていますので、今回は熊本地震に関連し断層のズレについて。
下の写真はこの地震で、断層が横に約2m、縦に1.5mズレた状況です。
20160521断層のずれ-横上下2

浜岡原発が断層の上に立っていることは、以前より指摘されている事実です。
原子炉建屋とタービン建屋は異なる断層に位置し、それぞれが配管で接続されているため、地震による振幅が大きくなる可能性が指摘されています。またこの断層にズレが発生したらどうなるだろうか?震度7の激震が加わったらどうなるだろうか?
私達素人にはその確率を算出することは出来ないですが、熊本地震の現実から、大きな不安材料の一つになっていることは間違いないです。
20160521浜岡原発建屋
20160521配管破断

原発再稼働推進派の方たちは安全対策が万全なので、3.11並みの過酷事故の可能性は限りなく低い(または起こらない)!
その心配をするより厳しさを増す日本経済にとって、再稼働は必要不可欠であると主張しています。
その通りかもしれません?しかし事故は起こるかもしれません?
誰も確かなことがわからないまま、決断しなければならない問題です。

2 浜岡原発の再稼働は、何を基準に、誰が決断すべきか?
最後にこのことについて考えてみました。
20160521過酷事故は発生するか

20160521司法判断

20160521誰が決断するか




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