久々の更新ですが、今回は富士市と鈴川石炭火力発電所の温室効果ガス排出量について、情報をいただきましたのでお知らせします。
1.富士市の温室効果ガス排出量次の富士市温室効果ガス排出量は、H26年度富士市環境報告書より抜粋。このデータはH22年度と古いデータなので、富士市に確認しましたがこのデータしかないそうです。 上表から最新のデータは、H22年で次のとおりです。 ■富士市の温室効果ガス排出量:6,710,000トン 富士市と他市の温室効果ガス排出量比較公表されている他市の排出量と、富士市を比較してみました。これに今回稼働した、鈴川石炭火力発電所の排出量は入っていません。 あくまで推測ですがH28年度は、これに100万トン近くプラスされ、喜べないダントツ一位だと思います。 ![]() 2.鈴川石炭火力発電所の温室効果ガス排出量鈴川石炭火力発電所の正式な公表データが見つからないので、石炭使用量から排出量を計算したものです。この計算方法はページの最後に記載しました。 石炭使用量は日本製紙の資料から、1000トン/日として計算しました。 その結果は次のとおりです。 ■鈴川石炭火力発電所CO2排出量:838,800トン これは富士市の総排出量(H22年度)の約12.5%という、膨大な量になります。 現在まで確認できている他工場の温室効果ガス排出量トップは約300,000トンなので、石炭火力発電所の排出量いかに多いかわかります。(下記富士市の工場における温室効果ガス排出量より) また上記富士市の報告にあるように、H22年では基準年のH2から1,035,000トン削減したとなっています。 現在までの増減量は不明ですが、富士市のH20・H21・H22年における3年間の削減量が10万トン足らずです。 これは約30,000トン/年程度の削減量で、H28年度までの6年間に同様の削減量が維持されたとして、180,000トンの削減量です。 また下記「富士市の工場における温室効果ガス排出量」から、公開されている富士市88事業者の増減量は、H25年から3年間で約18万トン増加していることがわかります。 これらの状況から、温室効果ガスの削減がとても難しいことがわかります。 富士市の工場における温室効果ガス排出量ここで取り上げている工場とは、静岡県地球温暖化防止条例施行規則第3条第1号に該当する事業者です。なんだか難しい表現ですが、要するに富士市の工場で温室効果ガス排出削減計画書及び報告書の提出を義務付けられている事業者のデータです。その第1号のデータは、静岡県の次のサイトで公開されています。 https://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-030/earth/jorei/documents/keikaku-1.pdf そのデータに記載されている富士市の工場は、88社確認できました。そのトータルの増減量が約18万トンの増加でした。 上位10社のデータは次のとおりです。 下表「6」、「9」の工場を除き、いつも目にする大量の煙を排出している、おなじみの工場です。 これには鈴川石炭火力発電所は入っていませんが、その排出量838,800トンがいかに膨大な量であるか、はっきり確認できます。 ![]() ■「3」の工場は、燃料を重油から石炭に変更したため、温室効果ガスの排出量が10%以上増加しています。今後もこのようなコストが安い石炭を使用する工場が、増加するんでしょうか? 環境部に確認しましたが、法的要件を満たせば問題なく稼働できるということで、事業者側にとって難しい制約は殆どないと言えます。 ■「5」の工場は、環境に優しいバイオマスボイラを導入したはずですが、この大幅な増加量はどういうことでしょうか?バイオマスと言っても、その中の石炭使用量が非常に多い?ということでしょうか? また他の理由でしょうか? 今回の石炭火力発電所の稼働は、今まで行われてきた温室効果ガス削減のための全て努力を帳消しにし、更に大幅な増加量をもたらすことは確実な状況です! これで良いでしょうか? 富士市の姿勢は?いずれにしても富士市は、温室効果ガスの排出量については問題視しない姿勢のようです。法的規制がないことも理由としてあげていますが、「どうにもならないので、触れたくない」というのが本音のようにも思います。 今までも富士市に環境について様々な質問をしてきましたが、最後は法的基準を満足しているので良いという回答になることが非常に多くなっています。 国や県に同様の質問をすると、「法的基準はすべての状況を満たしているものではありません」という答えが返ってきています。 これはある意味で理解できる回答です。 このような回答であれば、それではそこに住む住民がどのように折り合っていくか? または時間がかかっても、段階的にでも、改善を求めていくか? ・・・etc。 そこには行政・企業・住民が話し合い、協力し、努力し、改善できる可能性が生まれると思います。 もちろん法律は大切ですが、法律が全てという考え方は、行政にとって最も努力を必要としない解決策であり、多くの場合弱者に我慢を強いる状況を作り出していると思います。 しかし富士市の姿勢は、事業者にとって非常に都合が良いと思います。 富士市では経済発展のため、コストが安い石炭火力発電所を更に増やすことも可能な状況です。 中部電力がそのような計画を立てているとしても、利益追求する企業として当然だと思います。 富士市以外で石炭火力発電所を建設することは、住民の反対が大きく不可能ではないでしょうか? 重油から石炭への燃料転換も、もちろん可能な状況です。 「環境負荷の高い事業は富士市」という考え方は、今後も当然出てくると思います。 第2次富士市環境基本計画の中でも、温室効果ガスに関して次のようなことが書かれています。 しかし現状は、ここに書かれていることに逆行する状況だと思います。 ![]() 今回は温室効果ガスから富士市の環境を考えてみました。 CO2の排出量が多いということは、他の汚染物質の排出量も多いということになります。 SOX・NOX・水銀・ダイオキシン・・・・etc! 私達には富士市の環境が、今のままで良いとは思えません。 しかし多くの市民が今のままで良いと考えているなら、改善される可能性はないと思います。 私達の考えは、偏った考えということなになるのかもしれません。 それでももう少し、環境や健康影響について調べていきたいと思います。 ※CO2排出量算出方法■一日の石炭使用量1,000トン (日本製紙の資料より)■稼働日数 365日 (点検等の停止期間5日としました(推定値)。実際は電気の供給は止められないので365日だと思いますが) ■計算式と結果は下記 (計算式に関しては富士市環境総務課に確認済み) 1000トン☓360日☓2.33=838,800 (トン-CO2 ) ![]() スポンサーサイト
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